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Garmin Vivoactive3 を半年使ってみて - ランニングウォッチとしてのレビューまとめ

ランニングウォッチとしてGarminのVivoactive3を使って半年強。
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私の細々としたブログのアクセスが一番多いのはいまだにVivoactive3のレビュー記事なのだが、買った直後に思い付きで書いた部分もあって分かりにくい点もあり、また半年強使った今、ランニングウォッチとしての重要度を踏まえて改めてまとめ直す意味もあると思った。

※過去記事です
theresalight.hatenablog.com
theresalight.hatenablog.com
theresalight.hatenablog.com


結論:ランニングウォッチとしての評価~ごく一部を除いて合格
ランを本格的に始めて半年、結局、ランニングウォッチの本質的用途というのは、トレーニングやレースの際のペースやタイムの確認および記録に尽きる。必要なデータを正確に、ストレスやトラブルなく計測・表示・記録できることが最も大事で、それ以外の機能はあってもなくてもいい。
その観点でランニングウォッチに必要なことというのは、以下の3点に集約される。
1. GPS等の計測精度
2. 計測・表示項目の適切性と見やすさ
3. トラブルが発生しないこと

以下、それぞれについてVivoactive3を評価したい。

1. GPS等の計測精度 - 合格

若干前置き的になるが、ランにおいて、少なくとも速さを求めてトレーニングする人にとっては、GPSの精度こそが最も大事であることを強調しておきたい。
ランで最も重要な指標はペースである。ペースは、パフォーマンスを示す指標であると同時に、運動強度を示す指標でもある。10km45分という結果を目指すということはキロ4:30というパフォーマンスを目指すということであるが、キロ4:30というのは運動強度そのものでもあるわけである。従って、レースのときもトレーニングのときも、見るべき指標というのはペースでありペースこそが最重要な指標なのである。したがって、ペースをできるだけ正確に把握するため、GPSによる距離計測の精度が何よりも重要なのである。
さらに、ペースで表現される運動強度が人間の体に与える影響が線形的でない(下のグラフ)ことから、ペース即ちGPSの距離計測の精度の重要性はさらに高まる。
どういうことかと言うと、人間が運動する際、乳酸閾値(LT)を超える運動強度になると、それ以下の強度と比べて不連続的に体内の乳酸が急増し疲労し始める。したがって、現在の運動強度がLT以下かLT超かを知ることはとても重要なのである。LT域ギリギリの運動強度というのは、ダニエルズの計算機から得られるTペースであり、これはThreshold走を行う際のペースであるとともに、レースの時にも持続可能なペースの基準となる重要なペースである。私の場合Tペースはキロ4:29であるが、たとえば5秒速いキロ4:24ではLT域を超えてしまうだろう。今走っているペースが4:29なのか4:24なのか、この違いというのは1km当たりにかかる時間が5秒違うということ以上に、体の状態における決定的な違いでもあるので、この違いを正しく識別できる精度、すなわちTペースを正しく計測できるGPS精度が重要なのである。

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運動強度と血中乳酸濃度の関係

前置きが長くなったが、以下、GPSをはじめとした計測精度について評価する。

  • GPS - 精度は問題ない。トラック走行をする場合には、距離が若干(400mにつき10m程度)長めに出る傾向があるが(計測点同士が直線で結ばれることでショートカットされ距離が短く出るのなら分かるのだが、なぜか長めに出る。右手(=外周部に近い側)に装着しているからか)、トラックではそもそも正確な距離が分かっているので、大きな問題はない。トラックなど、短距離周回コースにおける距離精度は機種に関わらずGPS計測が苦手とする分野であろうから、致し方なかろう。トラック以外では、ロード練習でも事前にgoogle mapで計測していた距離とほぼぴったりであるし、レースの場合もコースどりを注意して内側を通るように気を付けてからは、オフィシャルな距離との乖離はほとんどない。

※4マイル(6.4km)レースのときの計測結果
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  • 気圧高度計 - もともとForerunner (日本ではForeathlete)シリーズではなくVivoactive3を買おうと思ったのは、Vivoactive3には気圧高度計が装備されているからだった。しかしながら、周回コースを1周してきたのにスタート地点とゴール地点の標高が違ったり、トラックを走っているのに下り一辺倒と認識されたり、正直あまり正確ではない。というよりは、ラン程度で発生する比較的微小な起伏を気圧高度計で正確に把握しようという方が間違っているのかもしれない。もっとも、実際にトレーニングを行うに際しては、上り坂・下り坂の存在さえある程度正しく認識してくれれば、細かい獲得標高などは結局ほとんど気にならないし気にしないことも分かったので、結局、なんら問題なく、そもそも気圧高度計は不要だったのかもしれない。

※400mトラックを14周したときの高度記録・・
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※ブルックリンハーフのときの高度記録。上り下りはちゃんと認識されているが標高の絶対値が・・・
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  • 心拍計 - 手首計測の光学式心拍計については、以前にも書いた通り、精度についてはもともと全く期待していない。精度もなにも、そもそも心拍ではないものを捕捉して心拍数もどきとして表示しているだけなので、特に運動中の数値としては見ない方がマシなレベル。したがって、正確な心拍数を把握するには乳バンド式心拍計を装着する必要がある。Vivoactive3は、乳バンドを装着すればそちらの数値を優先して拾い表示するようになっているので、その点は問題ない。一方で、実際にランを半年やってみると、心拍数というものがそれほど重要な数値でもないことも分かった。というのは、上にも書いたように、ランの場合は、ペースというパフォーマンスを示す指標自体が運動強度を示す有効な指標にもなっているので、ペースを見ていればLT域にあるのかないのかも含め運動強度を把握することができるのである。私も、途中からは透けブラ防止もあり(笑)乳バンド式心拍計を装着するのをやめてしまった(むろん手首計測の心拍数など見もしない)。

 まとめると、結局、ランニングウォッチとしては、GPS計測の精度が高くすなわちペース表示に信憑性があるのであればそれで十分であり、Vivoactive3はその観点では合格である。

2. 計測・表示項目の適切性と見やすさ - ほぼ合格
1. 基本的な計測・表示項目
半年間ランをやってきて、計測・表示が必要な項目は以下の通りと整理。
基本的な表示項目として、ペース、距離、時間。心拍数は私は結局見なくなったが、見る人もいるだろう(ただし手首計測の心拍数(もどき)は見ない方がマシ)⇒もちろんこれらは計測・表示可能
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1kmあたりのラップ。ラップ区間における距離や時間は、私は見ないが、もちろんこれらも計測・表示可能
マニュアルラップ⇒画面を2度タップすることでマニュアルラップ計測・表示可能

2. ワークアウトプランの作成とワークアウト時の計測・表示項目
単純に距離走やT走といったペース走をする場合、もしくはレースの際には上記の基本的な項目が計測・表示されれば十分であるが、インターバルトレーニングを行う場合は、あらかじめGarmin Connectでワークアウトメニューを作成しておく。
たとえば200m x 10のインターバルだとこんな感じ。
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Vivoactive3でRunを始めるときにWorkoutのメニューから該当するワークアウトを選択すれば、設定してある距離や時間に到達すると振動で知らせてくれる。

3. 見やすさ
表示画面は全部で3つまで作成できる。1画面あたりの表示項目数は1~4つの中から選択。ただし、その数はどの画面でも共通となってしまう。そんな制約簡単に外せそうなのに、なんでそんな残念な設計になっているのか不明。ただ、使用にあたっては、タイム、距離、ペース、心拍の4つさえ表示されていればよいので(心拍は不要かもしれない)、そんなに問題ない。そもそも1つの画面しか使っていないし。
唯一のマイナスポイントはバックライト。夜間のトレーニング時に画面に表示されている項目を見るためにはバックライトの点灯が必要である(ラップ到来時のラップタイムは振動と自動点灯で教えてくれる)。Vivoactive3は、スクリーンを顔の方に向けるように腕を動かすと加速度センサーが反応してバックライトが点灯するようになっているが、反応が鈍いのと遅いため、強めに加速度をつけてやらないと点灯しないうえ、点灯したとしても点灯するまでに1秒弱のタイムラグがある。これではトレーニング中に情報を見たいときにすぐに見ることができず、正直、ストレス。バックライトを点灯させるためには画面をタップすることもできるので、結局情報を見るたびに画面をタップするか、街灯の下を通過するときにペースを確認するということをやる必要がある。加速度センサーの反応をもっと敏感にするか、常時バックライト点灯モードを作って欲しい。

4. 項目の記録等
スマホ上で記録・確認できる項目については以下の通り。Garmin Connectのアプリとしての完成度は高く、全く問題ない。
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なお、アクティビティ終了後の保存のプロセスは以下の通り。
物理ボタンを押して計測が終了すると、"Done"を選ぶ画面になり、それを押すとさらに”Save”,"Discard"を選ぶ画面になる。SaveしたくなければDiscardすれば確認画面が出てもう一度Discardを押せばその場で消去される。Saveすれば本体およびスマホがそばにあればGarmin Connectに保存される。
また、Stravaに連携するには、スマホ側に入っているアプリであるGarmin ConnectにおいてStravaとの自動連携を設定しておけば、上記ラン終了のプロセスを踏めば、Garmin Connectにデータが保存されるとともに自動的にStravaにもアップロードされる(私はStravaで公開される前にタイトルとかを編集したいので、Strava側でデフォルト設定をPrivateにしているが)。


3. トラブルが発生しないこと - 合格

 ランニングウォッチとしてのトラブルとして絶対に回避しなくてはならないのは、①途中で計測が意図せず中断してしまうこと、②電池切れ、③なかなかGPSを捕捉せずスタート時間に間に合わない、といったところか。

①は、起こってしまったら最悪である。が、Vivoactive3は、さまざまな機能をタッチパネルで行うものの、計測開始・終了は物理ボタンで行うようになっている。画面に何かが触れたり水滴が落ちたりといったことが起こった際、表示画面が変わってしまうことは有り得るが、物理ボタンが押されない限りは計測が中断されることはあり得ない。この点は、非常に安心感がある。何でもかんでもタッチパネルでやるのが先進的だと思い込むのではなく、実際に使用される局面を考えたうえで、最大リスクの最小化という当たり前のことを忘れずに冷静に設計されているのだと思う。
(2020.5.20追記)ただし、レーススタート前にGPSを捕捉し、その状態で画面をスワイプ(元の画面に戻る動作)してしまうと、GPS捕捉前の状態に戻ってしまうので、スタートまでの待機時間中は不用意にスワイプしないよう注意が必要。

②稼働時間は公称ベースでGPS使用時13時間。実際にはそこまで持たないのだろうが、ちゃんと充電さえしておけば全く問題ないレベル。あと、充電時間も短い。レース前日に気づいて充電しても1時間もあればフルではないにせよレース中に使えるぐらいのレベルまでは充電される。よって、ものごとの準備は前日にする、という基本的な生活習慣がある限りにおいて、レース中に電池切れとなる心配はない

GPS捕捉に関しては、曇り空の場合に数分かかるケースは実際に何度かあった。したがって、GPS捕捉はレーススタート7~8分前くらいからやっておいた方がよい。①にも書いたが、物理ボタンが押されない限りは計測が意図せず始まってしまうことはあり得ないので、早目にGPS捕捉をしておくデメリットはない。

まとめると、(ある程度シリアスな人が使う)ランニングウォッチとして最重要であるGPS精度に問題がなく、必要十分な情報が適切に表示され、トラブルやストレスも少ないため、Vivoactive3はランニングウォッチとして問題なく使える
ランナーズモデルであるFor AthleteシリーズではなくVivoactive3を選んだ理由である気圧高度計の装備であるが、高度の測定自体の重要度がそれほど高くないことが分かったため、Vivoactive3である必要は必ずしもなく、For Athleteシリーズ(機能的には235で問題ないと思われる)でもよいと思う。

なお、予想されたことであるが、ライフロガーとしてはもはや全く使っていない。使えないから、というよりは、ただ単に飽きたということである。外すのが面倒なので日中もつけっ放しにしているが、アクティビティ以外の指標は全く見なくなった。
ただし、メールやLineの通知機能は便利。日本語版でないので、日本語で来たメールは全て文字化けしてしまうのが難点だが、メールが来たことが分かるだけでもありがたい。それ以外に使っている機能は、振動で起こしてくれるアラームくらい。

以上です。